【新薬徹底解説】セタネオ点眼液 ── 緑内障治療が変わる? 他の目薬との違い・メリット・デメリット・注意点を眼科医が30分で解説
■ 本動画で引用・参照する主な情報源一覧
台本中に【ソース①】などと記載します。患者さんが自分で確認したい場合は、下記のURLやキーワードで検索してください。
| 番号 | 情報源 | アクセス方法 |
|---|---|---|
| ソース① | 参天製薬 ニュースリリース(2025年8月25日 承認取得) | santen.com → ニュース → 2025年8月25日 |
| ソース② | 参天製薬 ニュースリリース(2025年10月23日 発売) | santen.com → ニュース → 2025年10月23日 |
| ソース③ | セタネオ点眼液 添付文書(電子添文) | KEGG MEDICUS または PMDA で「セタネオ」検索 |
| ソース④ | セタネオ点眼液 インタビューフォーム | PMDA で「セペタプロスト」検索 |
| ソース⑤ | 日経メディカル「緑内障、高眼圧症に新たな作用機序の眼圧下降点眼薬」(2025年9月) | medical.nikkeibp.co.jp |
| ソース⑥ | Medical Tribune「新機序の緑内障・高眼圧症治療薬セペタプロスト点眼液が承認」(2025年8月) | medical-tribune.co.jp |
| ソース⑦ | 新薬情報オンライン(PASS MED)「セタネオ点眼液の作用機序」 | passmed.co.jp |
| ソース⑧ | 日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」 | 日本緑内障学会HP |
| ソース⑨ | エイベリス点眼液 添付文書・適正使用ガイド | PMDA で「エイベリス」検索 |
| ソース⑩ | 医薬通信社「緑内障・高眼圧治療点眼剤 セペタプロスト点眼液 日本で承認申請」(2024年9月) | iyakutsushinsha.com |
■ オープニング
みなさんこんにちは、眼科医髙です。
今回は、2025年10月に参天製薬から発売されたばかりの、緑内障の新しい目薬「セタネオ点眼液」について、じっくり30分かけて解説していきます。
「新しい緑内障の薬が出たらしいけど、今使ってる薬と何が違うの?」「自分には関係あるの?」「副作用は大丈夫?」──そういった疑問に、できるだけ正確な情報をもとにお答えしていきたいと思います。
最初にお断りしておきますが、この動画は医学的な知識を提供するための教育コンテンツです。個別の治療方針は必ずかかりつけの眼科の先生と相談して決めてください。動画の中で参照する情報源についても概要欄にまとめていますので、「本当にそうなの?」と思ったら、ぜひご自身でも確認してみてください。
では、さっそく始めましょう。
■ 第1章:そもそも緑内障ってどんな病気?
話すポイント
まず「セタネオって何がすごいの?」を理解するために、緑内障の基本をおさらいしましょう。
緑内障は、日本の40歳以上の約5%、つまり20人に1人がかかっている病気です。そして日本における失明原因の第1位です。【ソース①、⑧】
ただ、いきなり見えなくなるわけではありません。視野がゆっくりと、何年もかけて欠けていく。しかも片方の目から進行することが多くて、もう片方の目が補ってしまうため、自覚症状がないまま進行してしまうんです。
眼圧と房水の話
緑内障治療で唯一確立されている治療法は、眼圧を下げることです。【ソース⑧】
目の中には「房水」という透明な液体が常に循環しています。この房水が適切に排出されないと、目の中の圧力──つまり眼圧が上がります。眼圧が高い状態が続くと、視神経がダメージを受けて、視野が欠けていく。これが緑内障の基本的なメカニズムです。
ここで大事なのは、房水の排出ルートが2つあるということです。
- 主流出路(線維柱帯流出路):シュレム管を通るルート。房水の約80〜90%がここを通ります。
- 副流出路(ぶどう膜強膜流出路):白目(強膜)の裏側を通るルート。残りの10〜20%がここを通ります。
この「2つの排水口」を覚えておいてください。セタネオの最大の特徴を理解するカギになります。
正常眼圧緑内障
ちなみに、日本人に多い「正常眼圧緑内障」というタイプもあります。眼圧が正常範囲にあっても視神経が傷つくタイプですが、この場合でも「その人にとって眼圧を下げること」が治療の基本です。眼圧を1mmHg下げるだけで、緑内障の進行リスクが約10%下がるというデータもあります。だから、たとえ正常眼圧であっても、さらに下げることに意味があるわけです。
■ 第2章:今ある緑内障の目薬を整理しよう
話すポイント
セタネオがどういう立ち位置の薬なのかを理解するために、現在使われている緑内障の目薬を大まかに整理してみましょう。【ソース⑤、⑧】
(1)プロスタグランジン関連薬(FP受容体作動薬)
代表的な薬:ラタノプロスト(キサラタン)、トラボプロスト(トラバタンズ)、タフルプロスト(タプロス)、ビマトプロスト(ルミガン)
これらは緑内障治療の第一選択薬として最もよく使われているグループです。1日1回の点眼で強力に眼圧を下げてくれます。
作用機序は、目の中のFP受容体を刺激して、**副流出路(ぶどう膜強膜流出路)**からの房水排出を促進することです。
非常に優れた薬なんですが、FP受容体を刺激することで、独特の副作用が出ます。これを**PAP(プロスタグランジン関連眼周囲症候群)**と呼びます。具体的には:
- まつ毛が長く・太く・濃くなる
- まぶたの皮膚が黒ずむ(色素沈着)
- まぶたがくぼむ(DUES:上眼瞼溝深化と呼ばれます)
- 虹彩の色が変わる(色素沈着)
特に女性の患者さんでは、この見た目の変化を気にして点眼をやめてしまうケースが実際に少なくありません。治療開始後1年以内に60%まで継続率が下がるというデータもあります。
(2)EP2受容体作動薬:エイベリス(オミデネパグ)
2018年に発売された、比較的新しいタイプの薬です。プロスタグランジン関連薬の仲間ではあるんですが、刺激する受容体が違います。EP2受容体を選択的に刺激します。
最大のメリットは、FP受容体を刺激しないので、PAPが起きにくいということ。まつ毛の異常やまぶたのくぼみ、皮膚の黒ずみが基本的に出にくいです。【ソース⑨】
ただし注意点があって、エイベリスには重要な**禁忌(使ってはいけない患者さん)**があります。
- 無水晶体眼・眼内レンズ挿入眼の患者さん → 黄斑浮腫のリスクが高い
- タフルプロスト(タプロス)を使用中の患者さん → 併用禁忌
白内障手術を受けて眼内レンズが入っている方にはエイベリスは使えない。これは臨床上、結構大きな制限です。【ソース⑨】
(3)β遮断薬(チモロール等)
(4)炭酸脱水酵素阻害薬(ドルゾラミド等)
(5)α2作動薬(ブリモニジン等)
(6)ROCK阻害薬:グラナテック(リパスジル)
これは**主流出路(線維柱帯流出路)**に作用する薬です。2014年発売。線維柱帯の細胞を弛緩させて、主流出路からの排出を改善します。
こうした様々な薬がある中で、2025年10月に新たに登場したのがセタネオです。
■ 第3章:セタネオとは何か?── 基本情報
話すポイント
では、本題のセタネオについて見ていきましょう。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | セタネオ点眼液0.002% |
| 一般名 | セペタプロスト |
| 製造販売 | 参天製薬 |
| 創製 | 小野薬品工業 |
| 承認日 | 2025年8月25日 |
| 薬価収載 | 2025年10月22日 |
| 発売日 | 2025年10月23日 |
| 効能・効果 | 緑内障、高眼圧症 |
| 用法・用量 | 1回1滴、1日1回点眼 |
| 薬価 | 1mLあたり800円(1日薬価:約40円) |
【ソース①②③⑦】
製造販売は参天製薬ですが、もともとの薬の創製は小野薬品工業です。小野薬品といえば、オプジーボで有名な会社ですね。
セタネオの分類
セタネオは、プロスタグランジン関連薬のグループに分類されます。「なんだ、今までのキサラタンとかと同じグループか」と思われるかもしれません。でも、同じグループの中でも作用の仕組みが根本的に違うんです。
セタネオは「二環式プロスタグランジン誘導体」という構造を持つプロドラッグです。点眼後、角膜の中でエステラーゼという酵素によって速やかに分解されて、活性代謝物(ONO-AG-367)に変わります。この活性代謝物が受容体に作用するという仕組みです。【ソース③⑥】
■ 第4章:セタネオの最大の特徴 ──「デュアル作動薬」とは
話すポイント
ここがこの動画の一番のキモです。
従来のFP受容体作動薬との違い
従来のプロスタグランジン関連薬、つまりキサラタンやタプロスやトラバタンズは、FP受容体だけを刺激していました。FP受容体が刺激されると、副流出路(ぶどう膜強膜流出路)が広がって、そこから房水が出ていきやすくなる。
セタネオは、このFP受容体に加えて、EP3受容体も刺激します。【ソース①③⑤⑥⑦】
EP3受容体を刺激すると、今度は**主流出路(線維柱帯流出路)**からの房水排出も促進されます。
つまり、セタネオは「2つの排水口を同時に開ける薬」なんです。
- FP受容体刺激 → 副流出路からの排出↑
- EP3受容体刺激 → 主流出路からの排出↑
このように2つの受容体を同時に刺激する薬を「デュアル作動薬(デュアルアゴニスト)」と呼びます。セタネオは、FP受容体とEP3受容体のデュアル作動薬として日本で初めて承認された薬です。【ソース①⑩】
エイベリスとの違い
ここで「EP2受容体を刺激するエイベリスとは何が違うの?」と思われた方もいるかもしれません。
エイベリスはEP2受容体のみを選択的に刺激します。FP受容体は刺激しません。だからPAP(まつ毛の異常やまぶたのくぼみ)が出にくいんです。
一方、セタネオはFP受容体も刺激するので、PAPは従来薬と同程度に出る可能性がある。ここが大きな違いです。【ソース⑦】
まとめると:
| 薬剤 | 刺激する受容体 | 主流出路 | 副流出路 | PAP |
|---|---|---|---|---|
| キサラタン等 | FP受容体のみ | × | ○ | あり |
| エイベリス | EP2受容体のみ | ○ | ○ | 少ない |
| セタネオ | FP+EP3受容体 | ○ | ○ | あり |
サルでの実験データ
実際に、高眼圧のサルにセタネオを投与した実験では、ぶどう膜強膜流出量(副流出路)が70.7%増加し、線維柱帯流出率(主流出路)も68.4%増加したことが確認されています。つまり実際に両方のルートからの排出が増えたわけです。【ソース③】
■ 第5章:臨床試験の結果 ── どのくらい効くのか?
話すポイント
次に、実際にヒトでの臨床試験の結果を見てみましょう。
国内第III相検証試験
原発開放隅角緑内障または高眼圧症の患者さんを対象として、セタネオ0.002%を1日1回点眼した群と、ラタノプロスト0.005%を1日1回点眼した群を比較した、多施設無作為化評価者遮蔽並行群間比較試験が行われました。【ソース①②③⑩】
主要評価項目は「投与4週後のベースラインからの平均日中眼圧値の変化量」です。
結果として、セタネオ群のラタノプロスト群に対する非劣性が検証されました。群間差の95%信頼区間の上限値は0.769mmHgで、非劣性マージン1.5mmHgを下回っていました。【ソース③】
つまり、「キサラタン(ラタノプロスト)と同等以上の眼圧下降効果がある」ということが確認されたということです。
ここで一つ正直に伝えたい点
「2つの排水口を開けるなら、1つしか開けないキサラタンより絶対に強力に効くはずでは?」──理論上はそう期待しますよね。でも、臨床試験の結果は「非劣性(同等)」でした。「優越性」ではなかった。
これについては、臨床の専門家の間でもいくつかの解釈があります。「確かにスタート時点の眼圧下降幅は同等だが、眼圧下降の持続性に差がある可能性がある」という見方です。つまり、従来のFP受容体作動薬は夜間に効果が切れてくる可能性があるのに対し、セタネオは24時間にわたってより安定した眼圧コントロールが期待できるかもしれない、ということです。
第II相試験(ANGEL試験)
米国と日本で実施された第II相試験(ANGEL試験)でも、ラタノプロストとセタネオの有効性は同程度で、なおかつ副作用の頻度はセタネオ群でやや低い傾向が認められていました。ただし、国内の第III相試験では逆に副作用の発現頻度がセタネオ群でやや高い傾向でした。【ソース⑦】
長期投与試験
国内で実施された第III相長期投与試験では、セタネオを**1年間(52週間)**にわたって使い続けた場合にも、安定した眼圧コントロールが維持されることが確認されています。【ソース①②③】
■ 第6章:セタネオのメリットまとめ
話すポイント
ここまでの内容を踏まえて、セタネオのメリットを整理してみましょう。
メリット① 新規作用機序 ── 2つのルートから房水を排出
FP受容体だけでなくEP3受容体にも作用する、国内初のデュアル作動薬です。理論上、従来の薬で十分に眼圧が下がらなかった方にも効果が期待できます。
メリット② 1日1回点眼でシンプル
用法は1日1回、1滴。従来のプロスタグランジン関連薬と同じ使い勝手で、患者さんの負担が少ないです。
メリット③ ラタノプロストと同等の眼圧下降効果
第一選択薬のラタノプロストと同等の効果が第III相試験で示されているため、初回治療からの使用が可能です。参天製薬自身も「新たな第一選択薬になり得る」としています。【ソース②】
メリット④ 眼圧下降の持続性への期待
24時間にわたる眼圧コントロールの改善が期待されています。特に夜間の眼圧管理が課題だった患者さんには意味がある可能性があります。
メリット⑤ 眼内レンズ挿入眼が禁忌ではない
エイベリスは白内障手術後(眼内レンズ挿入眼)の患者さんには禁忌ですが、セタネオは禁忌ではありません。添付文書上は「慎重投与(黄斑浮腫のおそれ)」とされていますが、使用自体は可能です。白内障手術を受けた緑内障患者さんにとっては、選択肢が一つ増えたことになります。【ソース③⑨】
メリット⑥ 治療の選択肢が増える
既存のFP受容体作動薬で効果不十分だった方に対して、異なる作用機序で効果を期待できる新たな選択肢となります。
■ 第7章:セタネオのデメリット・副作用
話すポイント
ここからはデメリットの話です。新しい薬だからこそ、正直に話します。
デメリット① PAPは出る
セタネオはFP受容体を刺激するので、従来のプロスタグランジン関連薬と同様に、以下の副作用が出る可能性があります:
- 結膜充血:臨床試験では29.6%(162例中48例)に出ています。約3人に1人です。【ソース③】
- 睫毛の異常(まつ毛が長く・太く・多くなる):18.2%
- 眼瞼部多毛:5%以上
- 虹彩色素沈着(重大な副作用):0.3%(314例中1例)
特に結膜充血の頻度は高いです。国内第III相試験では、ラタノプロスト群よりセタネオ群のほうがやや副作用の発現頻度が高い傾向だったという報告もあります。【ソース⑦】
PAPが気になる方、特に美容面を重視する方にとっては、エイベリス(PAPが出にくい)のほうが適している可能性があります。
デメリット② 虹彩色素沈着は不可逆
虹彩の色が変わる色素沈着については、投与を中止しても元に戻らないことが報告されています。特に片眼だけに投与する場合、左右で虹彩の色に差が出てしまう可能性があります。日本人は暗褐色の虹彩が多いので目立ちにくいですが、変化はゼロではありません。【ソース③】
デメリット③ 新薬ゆえの未知のリスク
発売からまだ半年程度しか経っていません。臨床試験では数百例規模のデータしかなく、数千〜数万人が長期に使用した際のデータはこれからです。
特に**DUES(上眼瞼溝深化:まぶたのくぼみ)**については、発売間もないため十分なデータがありません。FP受容体を刺激する以上、理論的には起こりうると考えるのが自然です。
デメリット④ 薬価がやや高い
1mLあたり800円、1日薬価約40円です。ラタノプロストの後発品と比較すると高くなります。ただし新薬としては極端に高いわけではありません。
デメリット⑤ 妊婦・妊娠の可能性がある女性への注意
動物実験(ウサギ)で、流産や黄体退行、胎児死亡などが報告されています。妊婦または妊娠の可能性がある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するとされています。【ソース③】
■ 第8章:発売されたばかりの新薬だからこそ知っておくべき注意点
話すポイント
セタネオは2025年10月に発売されたばかりの新薬です。だからこその注意点がいくつかあります。
注意点① 14日処方制限
セタネオは新医薬品なので、2026年10月末日までは、1回の処方で最大14日分までしか出せません。【ソース③】
つまり、セタネオを使っている間は少なくとも2週間に1回は受診する必要があります。1ヶ月分まとめてもらうということができません。「そんなに頻繁に通えない」という方にとっては負担になります。
2026年11月以降は制限が解除される予定ですが、それまでは覚悟しておいてください。
注意点② 市販直後調査期間中
新薬発売後は「市販直後調査」の期間に入ります。この期間中は、副作用の情報が特に注意深く収集されます。
臨床試験では数百人規模でしたが、実際に世の中に出ると、何万人もの方が使うことになります。その中で新たな副作用が見つかる可能性はゼロではありません。
注意点③ 白内障手術後の方は要相談
先ほどお話ししたように、セタネオは眼内レンズ挿入眼に対しては禁忌ではなく「慎重投与」です。しかし「慎重投与」ということは、黄斑浮腫のリスクはゼロではないということです。白内障手術を受けている方は、必ず主治医にその旨を伝えて、使用するかどうか相談してください。【ソース③】
注意点④ ソフトコンタクトレンズ使用者
セタネオには防腐剤としてベンザルコニウム塩化物が含まれています。この成分はソフトコンタクトレンズに吸着することがあるため、点眼前にレンズを外し、点眼後少なくとも5〜10分あけてから再装用する必要があります。【ソース③】
注意点⑤ 点眼後の液の処理
薬液がまぶたの皮膚についたままにすると、色素沈着や多毛化の原因になります。点眼後に液がまぶたについた場合は、すぐにふき取るか洗顔してください。これは従来のプロスタグランジン関連薬と同じ注意点です。【ソース③】
注意点⑥ 他の点眼薬との間隔
他の目薬と併用する場合は、5分以上の間隔をあけてください。【ソース③】
■ 第9章:セタネオが向いている人・向いていない人
話すポイント
ここまでの情報を踏まえて、セタネオがどんな患者さんに向いているか、逆にどんな方には他の薬のほうがいいか、整理してみます。
セタネオが向いている可能性がある方
- 既存のFP受容体作動薬(キサラタン等)で眼圧が十分に下がらない方 → EP3受容体への作用で、追加的な眼圧下降が期待できる可能性があります。
- 白内障手術後でエイベリスが使えない方 → セタネオは眼内レンズ挿入眼が禁忌ではないため、選択肢になりえます(慎重投与ですが)。
- 夜間の眼圧上昇が課題の方 → 24時間にわたる眼圧コントロールが期待されています。
- 新しい治療薬を積極的に試したい方 → 最新の作用機序を持つ薬として、従来薬で満足できていない場合には候補になります。
- シンプルな点眼で治療したい方 → 1日1回なので、複数の薬を使うよりアドヒアランスが保ちやすい。
他の薬のほうが向いている可能性がある方
- PAPが気になる方、特に美容面を重視する方 → エイベリスのほうがPAPが少なくて適しているかもしれません(ただし白内障術後でないことが条件)。
- 長期使用実績のある薬のほうが安心な方 → キサラタンやタプロスは長年の使用実績があります。新薬はまだ実績が少ないので不安を感じるのは当然です。
- 2週間に1度の受診が難しい方 → 2026年10月末までは14日処方制限があるため、通院頻度が増えます。
- 現在の薬で十分にコントロールできている方 → 「うまくいっているものを変える必要はない」というのも大事な原則です。
■ 第10章:他のプロスタグランジン関連薬との比較まとめ
話すポイント
最後に、プロスタグランジン関連薬ファミリーの中でのセタネオの位置づけを、表にして整理してみましょう。
| 特徴 | キサラタン等(FP作動薬) | エイベリス(EP2作動薬) | セタネオ(FP+EP3作動薬) |
|---|---|---|---|
| 点眼回数 | 1日1回 | 1日1回 | 1日1回 |
| 作用する受容体 | FPのみ | EP2のみ | FP+EP3 |
| 主流出路への作用 | なし | あり | あり |
| 副流出路への作用 | あり | あり | あり |
| PAP | あり | 少ない | あり |
| IOL眼への使用 | 可能 | 禁忌 | 慎重投与(可能) |
| タプロスとの併用 | 可能 | 禁忌 | 可能 |
| 使用実績 | 長い(20年以上) | 中程度(2018年〜) | 短い(2025年〜) |
| 後発品 | あり | なし | なし |
【ソース③⑦⑨】
こうして並べてみると、セタネオはキサラタン等とエイベリスの「いいとこ取り」のように見えますが、PAPがある点と使用実績が短い点は考慮が必要です。
■ エンディング
話すポイント
今回は、2025年10月に発売されたばかりの新しい緑内障点眼薬「セタネオ」について、詳しく解説しました。
まとめると:
- セタネオは、FP受容体とEP3受容体の両方に作用する「デュアル作動薬」で、2つのルートから房水排出を促進する
- 臨床試験では、ラタノプロストと同等の眼圧下降効果が確認されている
- PAPは従来のFP受容体作動薬と同程度に出る可能性がある
- 白内障手術後の方にも(慎重投与ではあるが)使用できる点はエイベリスとの大きな違い
- 新薬なので、14日処方制限や未知のリスクがある点は覚えておく
繰り返しになりますが、この動画の内容はあくまで情報提供です。「自分にセタネオが合っているかどうか」は、必ずかかりつけの眼科の先生と相談して判断してください。
今回参照した情報源は概要欄にまとめていますので、詳しく知りたい方はそちらもチェックしてみてください。特に参天製薬のニュースリリースと、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のサイトで添付文書を見ると、正式な情報が確認できます。
最後までご視聴いただきありがとうございました。この動画が参考になったという方は、ぜひチャンネル登録と高評価をお願いします。
それでは、また次の動画でお会いしましょう。
■ 概要欄テンプレート
【新薬徹底解説】セタネオ点眼液 ── 緑内障治療が変わる?
▼今回の動画で参照した情報源
1. 参天製薬 ニュースリリース(承認取得)
https://www.santen.com/ja/news/2025/2025_1/20250825
2. 参天製薬 ニュースリリース(発売)
https://www.santen.com/ja/news/2025/2025_1/20251023
3. セタネオ点眼液 添付文書(KEGG MEDICUS)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00071814
4. PMDA(医薬品医療機器総合機構)
https://www.pmda.go.jp/ →「セタネオ」で検索
5. 日本緑内障学会 緑内障診療ガイドライン(第5版)
https://www.ryokunaisho.jp/
6. Medical Tribune 新薬エクスプレス
https://medical-tribune.co.jp/
7. 新薬情報オンライン(PASS MED)
https://passmed.co.jp/di/archives/19698
⚠️ この動画は医学的情報提供を目的としています。
個別の治療方針は必ず主治医にご相談ください。
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