AGAとは
50代の約40%はAGAを発症しています
参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会ガイドライン
簡単に言えば、「薄毛」のことです。難しくAndrogenetic Alopecia(男性型脱毛症)と言っているだけです。
もう少しわかりやすく言えば、「薄毛で一番原因が多いもの」がAGAということになります。
もちろん、AGA以外にも円形脱毛症や、ほかの原因があって脱毛が起きることがありますが、世の中の男性の薄毛のほとんどがAGAということになります。
そして、AGAは幸い、「薬を飲むことで治療が可能」な「疾患」です。
なぜなら、ホルモンバランスによって毛が薄くなっているだけなので、ホルモンを調節してあげれば再度太く、丈夫な毛が生えてきます。
AGAの9パターンは覚える必要ないし、診断も必要ない
よく、9パターンを解説していますが、あれを診断して、治療が変わることはほぼありません。
実際に患者へ説明するときに便利なだけで、薬を飲んでどれくらい治療効果がでるかは人によって違いますし、患者の希望も違う、予算も違う、どこまで回復するかはその人の生活習慣や遺伝的な要素も関わってくるので、実は患者にとっては何の意味もないのです。医者側の都合で作ったにすぎません。
”AGAかどうか”のほうが患者にとっては大事であり、AGAであれば「とにかくできるだけ早く治療をする」というのが最適解です。
AGAの診察で重要なことは、「毛根が生きているか、死んでいるか」です。
そもそも、「つるつる」の人がAGAの薬を飲んだり、外用薬を塗ってもほとんど効果がありません。
なので、毛根が死んでつるつるになる前に、治療を開始することが重要になるのです。
AGAの原因は?
原因は「男性ホルモン」です。
詳しく言えば、DTH(ジヒドロテストステロン)というホルモンになります。
上の図にあるように、テストステロンと5-アルファ還元酵素(5αリダクターゼ)が結びつくことによって「ジヒドロテストステロン:DTH」というホルモンが産生されます。
ジヒドロテストステロン(DTH) が受容体と結合することで、毛の成長が抑制する作用が働いてしまい、AGAが進行するのです。
このホルモンがそもそも基礎代謝として多い遺伝の人は、家系で薄毛の人が多いので「薄毛は遺伝」と言われる理由となります。
それ以外にも、受容体の数が多いとか、生活習慣やストレスなどにも関係してきます。
しかし、ここでテストステロンがこの5αリダクターゼと結びつかないようにすれば、DTHが産生されず、毛の成長の抑制もされない、ということになります。
そうです。
これがAGAの基本的な治療となります。
5αリダクターゼを阻害する内服薬を使用することがAGAの基本的な治療になります。
ホルモンバランスを調節せずに、毛根の直接の血管拡張作用をきたして開発されたのが「ミノキシジルの外用薬」となります。
皮膚科のAGAガイドラインでもAGAに使用することは「A:強く推奨」されています。
これは、毛根の血管を拡張させて栄養をいきわたらせることで効果を発揮するという理論にはなりますが、実は詳しい作用機序は解明されていません。というのも、もともと「高血圧」の治療薬として開発途中に、内服している被験者の方から「毛が生えてきた!」という副作用の報告が多く、その副作用をメインの作用として再開発されたものなので、実際の作用機序は「おそらく血管拡張さようだろう」と言われているにすぎないのです。
AGAの薬の種類は?
薬は主に下記のものになります。ミノキシジルに関しては内服と外用薬がありますが、効果・推奨度については内服薬がDで、外用薬がAのため外用薬を使用することを当院ではお勧めしております。
- フィナステリド(Finasteride)
- デュタステリド(Dutasteride)
- ミノキシジル(Minoxidil)
1.フィナステリド(Finasteride):推奨度A
一般名はフィナステリドですが、商品名として別名プロペシアやフィンペシアなどがあると思いますが、どれも全部一緒です。
作用は、5αリダクターゼのⅡ型を阻害するというもので、作用として期待されるのは育毛ですが、副作用として性欲減退が最も多いとされています。代謝は肝臓でされるため、肝機能障害のある方への投与は難しいです。
精子自体への影響はなく、半減期(血中濃度が半分の濃度になる時間のこと)も3~4時間といわれておりますので、安全性も高いとされております。
2.デュタステリド(Dutasteride):推奨度A
商品名としてよく聞くのは、ザガーロでしょうか。デュタステリドは、フィナステリドがⅡ型のみを阻害するのに対して、Ⅰ型も同時に阻害するため、より強力な効果を発揮します。
半減期も3~5週と言われている(定常状態における半減期)ため、フィナステリドよりも長期的に作用する半面、血中濃度もなかなか減らないためしっかりと管理をしながら使用する必要があります。
こちらも同じく、代謝は肝臓でされるため、肝機能障害のある方へは投与できません。
3.ミノキシジル(Monioxidil) 外用薬:推奨度A 内服薬:推奨度D
ミノキシジルの外用薬は実は、みなさんもよく耳にしたことがあるとおもいます。
そうです、「リアップ」です。5%ミノキシジルまでなら市販でも手に入れることできます。
しかし、5%より濃い濃度に関しては、医療機関でないと処方できないため当院では7%と15%をご用意いたしております。
副作用として、皮膚が赤くなったり、落屑が起きたり、という事例があります。
濃度が濃ければ副作用も強いようなイメージがあります。しかし、上記のように(皮膚科ガイドラインより抜粋)、ミノキシジルの有害事象について試した実験は少なく、接触皮膚炎症状に関しては濃度が高ければ起きる、というわけではなさそうです。
ミノキシジル内服薬は推奨しない!?
内服薬については、実は推奨度Dであり、ガイドラインでも作用が認められていないばかりではなく副作用のほうが強いため、「推奨しない」という文言があります。
当院では、他院とのメニューの差がないように、また、患者さんの中には、ミノキシジルの内服薬を希望される方がいらっしゃるためメニューとしてはご用意致しております。しかし、実際に診察を受けていただいたときには、しっかりと説明をさせていただいたうえで、ミノキシジルの内服薬はお勧めしておりません。自由診療ですが、患者さんファーストのクリニックであり、希望と副作用についてバランスをとりながら、患者さんのためになる治療を心がけております。
【参考】